研究概要 |
本研究は、これに先立つ四年間に急激に発展し広範な分野を巻き込んだ銅酸化物高温超伝導体の研究を踏まえ,高温超伝導物質およびその周辺物質を組織的・系統的に研究・開発することを目指し発足した.そして,研究代表者,研究分担者自身が提唱し発展させてきた物質構造・電子構造両面からの新しい物質設計指針に基づき,組織的・系統的な研究を行ってきた. 「新しい物質設計指針」とは,膨大な物質群を本質的・有効的にとらえるパラメータの発見と言ってもよく,多くの物質を対象とした組織的・系統的な研究は,逆に物質設計指針の発展・改良としてフィールドバックされてきた.本研究の成果は,1)銅酸化系の高温超伝導体の設計・物質開発を発展させたこと,2)非銅系化合物の物質開発・電子物性探索へ研究を拡大したこと,に大別される.1)については,炭酸塩ブロック層を含む一連の高温超伝導体を発見したこと,光学測定,電子分光,磁気測定等の手段を有機的に組み合わせ電子物性を多角的に明らかにしたこと,2)については,金属-絶縁体転移の周辺での系統的な物質開発,電子物性の解明の他に,固体物理学の課題である強相関電子系のモデル物質を開発することにもなった.また最終的に上述の結果を踏まえ,研究成果報告書を刊行し,そのなかで本研究によって得られた研究成果をテーマ毎にまとめて記述し,更に報文,口頭発表のリストを掲載した.
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