研究課題/領域番号 |
03101004
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
徳丸 克己 筑波大学, 化学系, 教授 (60011491)
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研究分担者 |
唐津 孝 千葉大学, 教養部, 講師 (70214575)
栗山 恭直 筑波大学, 化学系, 助手 (50225273)
新井 達郎 筑波大学, 化学系, 講師 (50151139)
桜木 宏親 筑波大学, 化学系, 助教授 (10011602)
菊地 修 筑波大学, 化学系, 教授 (30015771)
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キーワード | 光片道異性化 / 二重結合 / 光量子増幅効果 / ポテンシャルエネルギ-曲面 / 三重項エネルギ- / 回転異性化 / 異性化の様式 |
研究概要 |
本研究は、申請者らによる二重結合系の光片道異性化の発見を展開し、二重結合系の光異性化の諸様式並びにそれぞれに対応するポテンシャルエネルギ-曲面が分子の構造により如何に支配されるか、また光量子の増幅効果の発現の要因を明らかにし、光異性化の全貌を総合的に把握することを目的とするもので、以下の成果を得た。 1)光片道異性化、両方向異性化の境界的挙動を示すスチリルピレン誘導体を合成し、異性化の様式及び各配座のエネルギ-を決定し、フェニル基上の極性置換基により異性化のポテンシャル曲面が変化することを明らかにすると共に光量子増幅効果の条件を考察した。また、クリセン置換エチレンの光異性化の機構を解明した。 2)ビニルアントラセンの光異性化の速度定数はビニルのアントラセン環への置換が2-、1-、及び9-位の順に増加し、これは三重項励起状態におけるアントラセン環上の電子密度を反映する。 3)スチリルフェロンはシス→トランス片道異性化を示すがその異性化の効率はきわめて低いことを見い出しポテンシャルエネルギ-曲面と関連させて異性化を抑制する因子に関して提案した。 4)インド-ル環とピリジン環を置換基としたオレフィンがトランス→シス片道異性化をすることを発見し、異性化の様式を支配する因子として分子内の水素結合が重要な役割を果たすことを明らかにした。 5)異性化のポテンシャル曲面の理論計算を行い平面型の三重項エネルギ-が二重結合上の芳香族置換基に依存して変化し、そのため異性化様式及び励起状態の挙動が置換基の効果を受けることを明らかにした。 6)アントラセン環を有するシッフ塩基のアントラセン環とC=N-OMeをつなぐ単結合の回転異性化が励起一重項状態の寿命の間に起こりしかも特異的な方向に進行することを見いだした。
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