初期地球の表層環境と生物活動と元素循環

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03102002
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 大本 洋 東北大学, 理学部, 教授 (60194304)
• 研究分担者: 掛川 武 東北大学, 理学部, 助手 (60250669) ; 奈良岡 浩 東京都立大学, 理学部, 助手 (20198386) ; 林 謙一郎 東北大学, 理学部, 助教授 (40124614)
• キーワード: 初期地球 / 表層環境 / 生物活動 / 酸素分圧 / 硫酸還元バクテリア / 熱水活動 / 古土壌 / 溶解速度

研究概要

本研究プロジェクトの最終年度である本年は、前3ケ年間に分析された種々の地球化学的データの集積を完了し、さらに新しいデータを得、それらのデータを解析し、「初期地球の表層環境と生物活動と元素循環」を解明することに主力がおかれた。具体的には、(1)グリーンランド・イシュア地域、オーストラリア.ピルバラ地塊、南アフリ力・カ-プヴァール地塊及びカナダ・ラブラドール地域において、約38〜18億年前の海底で生成した様々な岩石及び鉱石、約500試料について、岩石学的、鉱物学的及び地球化学的分析を終了した。(2)カナダ・オンタリオ州において、約27〜20億年前の海底で生成した古土壌、堆積性ウラン鉱床、縞状鉄鉱床、塊状硫化鉱床及び頁岩の野外調査を行ない採集した。約100個の試料について岩石学的、地球化学的研究を行なった。(1)及び(2)の研究においては、全岩のみならず、各種鉱物及び有機物の化学組成及び同位体組成のミクロスケールにおける変化を明らかにした。各種分析総数は、数千にのぼる。
上記(1)〜(3)の研究によって得られたデータを基にして、初期地球における次の諸問題を明らかにした。「大気の酸素と炭酸ガス量の変遷」、「酸素発生型光合成生物や硫酸還元バクテリア等の生物活動度の変遷」、「海洋及び地穀の化学的進化」、「マンリル-地穀一海洋-大気間における種々の元素循環」、及び「大陸及び海洋における有用元素濃集(鉱床生成)メカニズムの変遷」。
本研究プロジェクトによって生みだされた地球進化についての新しい知見は、本研究プロジェクトの成果発表の目的で開かれた国際シンポジウムにおいて、またその他の国際学会において発表された。また23篇の論文を学術雑誌において公表した。さらに約20篇の論文も準備中である。

研究成果

• [文献書誌] Ohmoto,H.: "Formation of volcanogenic massive sulfide deposits." Ore deposit Review.in review.
• [文献書誌] Ohmoto,H.et al: "Carbon isotope records suggesing formations of large anoxic basins2.8-2.5 Ga ago." Abstracts with Programs,Geol.Soc.Amer.Ann.Mtgs.,Seattle,WA USA. A353- (1994)
• [文献書誌] Ohmoto,H.: "Geochemistry cycles of H,O,C,S,and heavy metals in the early Earth" Resource Geol.44. 274 (1994)
• [文献書誌] Hayashi,K.and Ohmoto,H.: "Inorganic geochemistry of Archean sedimentary rocks;Clues to the Po2 in the Archean Atmosphere." Resource Geol.,. 44. 273 (1994)
• [文献書誌] Naraoka,H.et ai.: "Organic geochemistry of Archean of Archean sedimentary rocks." Resource Geol.44. 273-274 (1994)
• [文献書誌] Kakegawa,T.and Ohmoto,H.: "Sulfur isotope geochemistry of Archean sedimentary rocks." Resource Geol.44. 273- (1994)