研究概要 |
1.Starburst構造を持つ超高スピンポリカルベンの合成:前年度完成した擬2次元的広がりを持つノナカルベン(S=9)の合成経路を論理的に発展させ、高度に枝分かれしスピンの集積度を高めた構造を実現した、ウンデカカルベン(S=12)では,分子間・分子鎖間の相互作用は反強磁性的であり,これを強磁性的とする制御が未解決である.2Kでの直流磁化に大きな異方性があり、主軸の回転には障壁のあることが観測されて、この超常磁性的な挙動のキャラクタリゼ-ションに、本年度設備備品費で購入した交流磁化率測定装置を用いて解析を進めた. 2.高スピン分子の組織化による巨視的スピン秩序形成:新規な安定ジニトロキシドおよびトリニトロキシドを各種合成し,これらがそれぞれ三重項および四重項を基底状態とすることを,ESRの微細構造の解析およびSQUID法による磁化率の温度依存の測定から証明した.これらジおよびトリニトロキシドラジカルを二座および三座配位子とする遷移金属錯体を各種合成した.そのうち,Mn(hfac)_2のトリニトロキシド(TN)錯体で,キュリ-温度3.4Kおよび9.5Kで強磁性体となるものの実現に成功した.前者では単結晶でのX線結晶構造解析を完了し,(TN)_2{Mn(hfac)_2}_3をユニットとして2次元網目構造が形成され,このシ-トが更にグラファイト様の層状構造を作っていることを明らかにした. 3.有機固体中でスピン整列を促す分子間力の設計・探索:芳香族ポリアミドの水素結合およびポリチオフェンのS・・・S相互作用を想定して,二量体ユニットにおける交換相互作用のプロトタイプを合成し,その大きさと符号を解析した.
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