研究課題/領域番号 |
03102004
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研究種目 |
特別推進研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
永津 俊治 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所・神経化学, 教授 (40064802)
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研究分担者 |
小林 和人 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所・神経化学, 講師 (90211903)
一瀬 宏 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所・神経化学, 講師 (90192492)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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キーワード | カテコールアミン神経 / チロシン水酸化酵素 / 芳香族アミノ酸脱炭酸酵素 / ドーパミンβ-水酸化酵素 / フェニルエタノールアミンN-メチル転移酵素 / 遺伝子発現 / 遺伝子標的法 / トランスジェニックマウス |
研究概要 |
(1)チロシン水酸化酵素の調節機構---複数の生物種におけるTHmRNAのRT-PCR解析および霊長類のTH遺伝子の解析によって、ヒトTHに存在する4種類のmRNA多型性の形成について進化的考察を行った。パーキンソン病および精神分裂病などの病態におけるTHmRNAの発現様式の変化を解析した。大腸菌のベクター系を用いて発現させた4種類のヒトTHisoformを精製し、酵素化学的性質を比較した。(2)カテコールアミン合成酵素遺伝子の発現機構---ヒトTH遺伝子の全領域あるいはそのプロモーター領域にレポーター遺伝子を連結した融合遺伝子を導入したトランスジェニックマウスの解析から、本遺伝子の組織特異的発現のためには、5'上流領域だけでは不十分で、エクソン-イントロン構造の内部あるいは3'下流領域に重要な調節領域の存在することが明らかになった。またトランスジェニックマウスを用いた実験で、ヒトDBH遺伝子プロモーターを含む4.0kbのDNA領域は神経系と副腎髄質における組織特異的発現に必要十分であり、また2.0kbのヒトPNMT遺伝子プロモーターは副腎髄質のアドレナリン合成細胞で特異的に機能することを明らかにした。ヒトAADC遺伝子に存在する2種類の選択的プロモーターの組織特異性について、トランスジェニックマウスを用いて解析した。2種類のプロモーターを含む7.0-kbの5'上流領域を用いた場合に、肝臓や腎臓を含む末梢臓器においてレポーター遺伝子の高頻度な発現が生ずることを明らかにした。(3)トランスジェニックマウスを用いた神経機能の解析---ヒトDBH遺伝子プロモーター/ヒトPNMTcDNAの融合遺伝子を導入したトランスジェニックマウス(DPN)において、ノルアドレナリン細胞はPNMTの付加的な発現によって、アドレナリン表現型に変換した。また、DPNマウスにおける交感神経からのアドレナリンの分泌は、標的臓器に存在するアドレナリン受容体のdown-regulationを誘導することを見い出した。イムノトキシンを利用してトランスジェニックマウス中枢神経系の特定細胞を誘導的に破壊する新しい方法を開発した。この方法の適用によって、脳内ノルアドレナリンニューロンを選択的に欠損する動物モデルを作成した。(4)精神神経疾患への分子生物学的アプローチ---THの量的増加と神経疾患との関係を調べるため、ヒトTH遺伝子を導入したトランスジェニックマウス(HTH)を作成し、THの過剰発現を試みた。HTHマウスにおいて、THタンパク質量および酵素活性はともに顕著な増加を示したが、カテコールアミン量にはコントロールに比較して有意な変化は認められなかった。in vivo microdialysis法を用いた解析から、生体内においては、TH活性を調節する重要な補償機構の存在することが示唆された。遺伝子標的法によるTH遺伝子欠損動物の作成は、ES細胞における相同組み換え体の単離に成功し、germ lineへのtransmissionも確認され、順調に進行した。
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