研究概要 |
本研究はPHF内タウの翻訳後修飾を解析することによって神経原線維変化含有細胞の細胞内環境を探ろうとするものである。 アルツハイマー病脳不溶性画分より得たPHF-tauを用いてリン酸化部位の直接的な同定を試みた。PHF-tauをプロテアーゼ(API)で消化し,分画し,それぞれの画分をシークエンサーおよび質量分析機にかけた。その結果,以下のフラグメントに異常リン酸化がおこっていることが判明した;残基191-225,226-240,386-438,さらに前記2番目のフラグメント上のリン酸基の位置は,Thr-231とSer-235と決定された。1番目と3番目のフラグメントにはそれぞれ2個以上のリン酸基の入っていることが判明した。その結果PHF-tauは6個以上のリン酸基を有することがわかった。これに対して正常tau は1個のリン酸基を有する。 同様にユビキチンを含む画分を精製しペプチドマップを作製し,ユビキチンの結合する相手およびその部位の同定を試みた。その結果,ユビキチンのC末端と結合したtauペプチドが得られた。結合部位としてLys-254,257,311,317が同定された。さらに一部のユビキチンはユビキチン-コビキチン結合をし,muetichainを形成していると考えられた。
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