研究概要 |
アルツハイマ-神経原線維変化(PHF)の翻訳後修飾にはリン酸化、ユビキチン化、およびcrosslinkingが知られている。本研究では、前2者に関して明確にした。 1リン酸化 (1)胎児型tauのリン酸化部位の同定 リン酸化依存性のPHF polyclonalおよびmonoclonalが胎児型tauを認識することからPHF-tauとfetal tauのリン酸化に共通性があることが明らかとなった。PHF-tauのリン酸化部位の同定にはいくつかの困難があったので(後述参照)、PHF-tauとリン酸化において類似性を示すfetal tauのリン酸化部位の決定をした。リン酸化部位の同定にはイオンスプレ-型質量分析機、エタンチオ-ル修飾後のアミノ酸配列分析を用いた。その結果、(ヒト441残基イソフォ-ムを基準として)、Thr-181,Ser-198,-199,-202,Thr-231,Ser-235,-396,-400,-404,-413がリン酸化部位として同定された。Ser-198,-400,-413を除いてすべてSer/Thr-Proのmotifでありプロリン指向性リン酸化といえこれらのリン酸化部位はTPKII/cdk5およびTPKI/GSK3βによるリン酸化部位を合わせたものに大体致した。 (2)PHF-tauのリン酸化部位の同定 PHF-tauのリン酸化部位の同定は困難をきわめた。第1にPHF-tauがプロテア-ゼに非常に耐性であること、第2にリン酸化ペプチドの逆相カラムからの収率が非常に悪いこと、が大きな要因であった。試行錯誤の結果、上記と同様な方法を用いて、Ser-198,-199,-202,-205,-208,-210,Thr-212,Ser-214,Thr-217,Ser-231,-235,-262,-396,-400,-403,-404,-409,-412,-413,-422が異常ン酸化部位として同定された。以上のようにPHF-tauはfetal tauよりはるかにリン酸化されていた
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