研究課題
チロシンキナ-ゼとイノシト-ルリン脂質情報伝達系のクロスト-クは、ホスホリパ-ゼCγ(PLC)、PI3キナ-ゼなどSH_2/SH_3領域を介して行なわれている。このSH_2はチロシンリン酸化部位を認識すると考えられているが、どの様なアミノ酸配列が認識に重要であるかわかっていない。我々は、SH_2含有蛋白によく保存されているアミノ酸配列の各種合成ペプチドを作り、EGFーRとPLCーSC_2との結合への影響を調べた。8つのアミノ酸よりなるGSFLVRESが最も阻害活性が高くこの部位が結合に重要な役割を果たしていることがわかった。更にこのアミノ酸配列を認識する抗体を作り、SH_2を持つ新規蛋白を捜したところ、28KDaの蛋白が見つかった。本蛋白はチロシンリン酸化したEGFーRと結合でき、どこの組織にも豊富に存在した。一方、pp60^<vーsrc>の標的蛋白として、カドヘリン・カテニン複合体を見つけた。リン酸化を受けると細胞間凝集能の低下が生じること、チロシンキナ-ゼの阻害剤であるハ-ビ-マイシンでリン酸化が抑制され、凝集能が戻ることから、癌の転移・浸潤に関係しているかも知れないと考えられた。哺乳動物の各種PLCのうち相同性の高い部位をプライマ-として、酵母よりPLCをコ-ドする遺伝子のクロ-ニングを行った。すると、PLCδと最も似かよったPLCー1、という遺伝子がとれてきた。本遺伝子を欠失させると酵母の増殖が極めて遅くなった。
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