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1991 年度 実績報告書

移植細胞対白血病(GVL)反応を応用した骨髄移植による白血病治療の基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 03152004
研究機関北海道大学

研究代表者

小野江 和則  北海道大学, 免疫科学研究所・病理部門, 教授 (40002117)

研究分担者 岩渕 和也  北海道大学, 免疫科学研究所・病理部門, 助手 (20184898)
小笠原 一誠  北海道大学, 免疫科学研究所・病理部門, 助教授 (20169163)
キーワード骨髄移植 / 白血病 / GVHR / GVL / negative selection / clonal anergy / 骨髄キメラ / CD4^+8^ーT細胞
研究概要

骨髄移植の最大の問題はGVHRである。しかし、GVHRを防ぐためにT細胞を完全に除去した骨髄細胞を移植した場合には、骨髄生着率の低下、白血病再発の頻度増加などが、患者で報告されている。
今回の研究においては、レシピエント側の移植抵抗性を制御し、また白血病の再発を防ぐために、ドナ-骨髄細胞に少数のT細胞を加え、骨髄移植を行った。その後、レシピエントの免疫系再建を主としてT細胞レパ-トリ-の抗原レセプタ-(TCR)発現パタ-ンを指標として解析し、以下の結果を得た。
1.骨髄移植時に加えたレシピエント抗原反応性T細胞は、胸腺、脾、リンパ節内で反応を生じた。しかしその結果、胸腺、脾は若干の重量増加、リンパ節は萎縮と異なる反応が認められた。
2.T細胞を加えた骨髄移植では、ドナ-側細胞への置換が著しく早まり、早期よりレシピエント細胞が消失した。
3.胸腺内の急性GVHRの結果、negative selection機構に異常が生じ、ドナ-骨髄前駆細胞よりレシピエント反応性T細胞が新たに産生された。これらは実際、in vitroでも宿主抗原に弱いながら反応性を示した。これらの細胞が、マイルドな慢性GVHRを持続することにより、白血病再発が防止される可能性が示唆された。
4.骨髄中に、これまで報告のないCD4^+TCR^<10> T細胞亜群が発見された。これらはMlsー1^a抗原反応性を示したが、アロHー2反応性が弱く、骨髄移植に応用できると考えられた。
以上、骨髄移植後のGVHRは、2つの異なるメカニズムによることを明らかにした。また新たなCD4^+TCR^<10> T細胞亜群が骨髄内に同定されたが、今後これらを精製し、骨髄細胞に加える骨髄移植の系を確立する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Iwabuchi Kazuya: "Distribution of MEL-14^+ cells in various lymphoid tissues." Immunobiol.182. 161-173 (1991)

  • [文献書誌] Gotohda Toshihiko: "Analysis of functional sites on a peptide antigen,p43-58,in I-A or I-E-restricted T cell responses." Int.Immunol.3. 503-509 (1991)

  • [文献書誌] Negishi Izumi: "Hー2K molecules positively select Vβ17a^+ CD4^ー8^+ T cells in bone marrow and thymic chimeras." Cell.Immunol.136. 185-193 (1991)

  • [文献書誌] Kizaki Takako: "Immune suppression induced by protoscoleces of Echinococcus multilocularis in mice:Evidence for the presence of CD8^<dull> suppressor cells in spleens of mice intra-peritoneally infected with E.multilocularis." J.Immunol.147. 1659-1666 (1991)

  • [文献書誌] Hirose Shigeto: "Regulation of experimental autoimmune uveitis in rats - Separation of MHC and non-MHC gene effects -." Clin.Exp.Immunol.86. 419-425 (1991)

  • [文献書誌] Iwabuchi Chikako: "Deficiency in early development of the thymus-dependent cells in irradiation chimeras attributable to recipient environment." J.Immunol.146. 26-34 (1991)

  • [文献書誌] 小野江 和則: "I.TCRー抗原ーMHC相互作用.「Annual Review免疫1991」(菊地 浩吉・矢田 純一・奥村 康編)" 中外医学社,東京, 368 (1991)

  • [文献書誌] 小野江 和則: "骨髄移植キメラマウスを用いたHー2解析.「新生化学実験講座12.分子免疫学II.免疫遺伝学・アレルギ-」大沢 利昭,奥村 康,矢田 純一,永井 克孝編)" 東京化学同人, 400 (1991)

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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