研究概要 |
1.SIV_<MAC>接種によるアカゲザルでのエイズ発症 エイズ発症モデル系を作成することを目指し、アカゲザルより分離されたSIV_<MAC>を5頭アカゲザルに接種した。そのうち4種が接種後41〜103週でエイズ様症状を示して死亡した。体重減少、下痢、CD4/CD8比の減少また細菌、CMVやニュ-モシステスカリニの日和見感染、リンパ節の萎縮等が見られ、ヒトのエイズと酷似していた。 2.HIV/SIVの変異・組換えウイルスによるサル細胞指向性 一般のサルに感染するHIV作成を目指し、まず、サル細胞指向性の決定要因を明かにすることを目的とした。種々のSIV_<MAC>とHIVー1のキメラウイルスを作成して、それらのサルPBMCでの増殖を調べたところ、SIV_<MAC>のLTR,gag,pol,vif領域が必須であることが明かになった。 3.サルに感染可能なHIVーlenvをもったSIV_<MAC>コキメラウイルス 前記のサルPBMCに感染可能であったNMー3ウイルスとNMー3のnefを活かしたNMー3nウイルスを、各々2頭のカニクイザルに接種したところ、全頭のPBMCからPCRによりゲノムが検出された。またNMー3n接種群では定かでないが、NMー3接種ザル1頭からウイルスが分離され、全頭で抗体で産生されたことから、感染が成立したと判断した。このキメラウイルスはHIVーlenvをもつ為、ワクチンの効果判定の際のサルへの攻撃接種に用いることができる。 4.SIV_<MAC>感染性DNAクロ-ン接種によるキャリア- クロ-ンウイルスを2種のカニクイザルに接種したところ、接種後72週の現在でも、恒常的にウイルス分離が可能でキャリア-となっている。今後、発症の有無を調べるとともに分離されたウイルスのin vivoにおける変異を明かにする。
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