研究課題/領域番号 |
03152138
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研究機関 | (財)佐々木研究所 |
研究代表者 |
前川 昭彦 (財)佐々木研究所, 病理部, 部長 (30106182)
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研究分担者 |
杉下 匡 (財)佐々木研究所, 附属杏雲堂病院・婦人科, 部長 (30132765)
路 進 (財)佐々木研究所, 病理部, 研究員 (10240433)
高橋 正一 (財)佐々木研究所, 病理部, 主任研究員 (50132767)
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キーワード | 子宮内膜癌 / 子宮内膜過形成 / ドンリュウラット / F344ラット / エチルニトロソグアニジン / 光不妊 / 卵巣顆粒膜細胞腫 / 子宮癌修飾因子 |
研究概要 |
1.10週齢のDonryuおよびF344ラットを用い、エチルニトロソグアニジン(ENNG)20mg/kgを経膣的に子宮(片側子宮角)腔内に単回投与し、子宮内膜癌発癌モデルの確立を試みる実験が進行中である(現在実験開始後9ヶ月を経過)。これまでのところ、膣スメアの検索でF344よりDonryuラットで早期より持続的発情の出現がみられている事を除けば、両系統ラットともENNG投与群と非投与群で性周期に差を認めず、又3及び6ヶ月目の途中屠殺で肉眼的に子宮癌発生を見ていない。 2.子宮癌発生におよぼす加齢の影響を検討する目的で、10ヶ月齢の両系統ラットを用い同様の実験が進行中である(投与後6ヶ月経過)。今までのところ、何れのラットにも肉眼的に子宮癌発生をみていない。 3.光不妊Donryuラットを用いての子宮癌発癌実験が進行中である(8ケ月経過)。7週齢時より24時間室内照明する事により光不妊(持続的発情)ラットを作製し、ENNGの単回子宮腔内投与、あるいはENNG投与前又は後にエストロゲンを投与した結果、6ヶ月目の時点でほぼ前例に光不妊に起因する内膜過形成がみられ、ENNGにより僅かながらその程度が亢進する傾向がみられたが、内膜病変に対するエストロゲンの影響ははっきりしなかった。 4.Donryuラットを経時的に屠殺し、自然発生子宮癌の組織発生を検討した結果、内膜被覆上皮および子宮腺の過形成が前癌病変である事が示唆された。その他、ビスオキシプロピルニトロサミン(BOP)をF344ラットに経胎盤投与して発生した卵巣顆粒膜細胞腫/黄体腫の症例を用い、卵巣腫瘍と子宮内膜病変との関連を検討した結果、無処置対照群にくらべBOP投与群で子宮内膜過形成が有意に高く、又BOP投与群の中では卵巣腫瘍のなかった症例に比べ、卵巣腫瘍を有する例で僅かながらその頻度および程度が増強する傾向が認められた。
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