研究課題/領域番号 |
03152146
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研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
西條 長宏 国立がんセンター研究所, 薬効試験部, 部長 (00215526)
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研究分担者 |
西尾 和人 国立がんセンター研究所, 薬効試験部, 研究員
藤原 康弘 国立がんセンター研究所, 薬効試験部, 研究員 (10219066)
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キーワード | 薬剤耐性 / 腫瘍プロモ-タ- / シスプラチン / シグナル伝 / 燐酸化 |
研究概要 |
抗癌剤耐性細胞が腫瘍プロモ-タ-による細胞傷害能に対し交差耐性を示す機構を検討した。腫瘍プロモ-タ-の細胞傷害活性とtumor promoting activityは正の相関を示した。アドリアマイシン耐性のmdr細胞であるK562/ADMおよびシスプラチン耐性非小細胞癌株PCー9/CDDPにおけるokadaic acid(非TPA性腫瘍プロモ-タ-)の細胞内への取り込みは、それぞれの母細胞と差を認めなかった。耐性細胞,母細胞におけるprotein kinase C及びprotein phosphatase阻害剤は耐性細胞の薬剤感受性を修飾しなかった。耐性細胞における蛋白質のリン酸化能の検討によるとシスプラチン耐性株では母細胞に比べ32KDおよび20KDの核蛋白質の燐酸化が亢進していた。20KDの蛋白はokadaic acidとの接触後時間依存性に増加した。すなわち20KDの蛋白質はokadaic acidで抑制されるprotein phosphataseの基質であると示された。これらの現象は母細胞では認められなかった。抗癌剤に対する耐性機構は薬剤毎に、又同一薬剤であっても腫瘍細胞毎の異なる事が知られている。しかし、全ての薬剤に共通する耐性機構の解明なくしては、その克服は不可能である。今回の検討では蛋白質のリン酸化が薬剤耐性と密接に関与する事を示唆する成績がえられた。又、我々は抗癌剤による脂質の燐酸化を含む情報伝達系の変化が母細胞と耐性細胞で異なる事実をえている。これらの研究の集積によって全ての薬剤に共通の耐性機構が解明されると思われる。
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