研究課題/領域番号 |
03201131
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
安藤 雅孝 京都大学, 防災研究所, 教授 (80027292)
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研究分担者 |
菊池 正幸 横浜市立大, 文理学部, 教授 (20046147)
中田 高 広島大学, 文学部, 助教授 (60089779)
渋谷 拓郎 京都大学, 防災研究所, 助手 (70187417)
伊藤 潔 京都大学, 防災研究所, 助手 (80022721)
飯尾 能久 京都大学, 防災研究所, 助手 (50159547)
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キーワード | 自然災害 / フィリピン地震 / 直下型地震 / 都市震災 / 副次断層 / 多重震源 / 活断層地形 / 破壊過程 |
研究概要 |
フィリピン地震は自然災害研究の上で貴重な資料を残した。断層は長さ150km、ズレは5mにおよぶ大規模な地震にもかかわらず、断層沿いの村落の被害は比較的小さく、むしろ断層から30ー50kmも離れたバギオ市やアゴウ市で甚大な被害を受けた。大被害を受けた都市の地盤条件は比較的良好であり、1989年ロマプリエタ地震のように、遠く離れた地点で被害が大きくなった原因を地盤条件に求めることはできない。 (1)破壊過程の研究 1990年フィリピン地震を複雑な多重震源からなるものとして、破壊過程のインバ-ジョンを菊地他による手法を用いて行った。この結果、発震時から60秒後に副次断層付近から、全体の1/3に達する地震モ-メントが放出されていることが分かり、潜在断層が確かに存在することを裏付けた。これにより、1990年地震の大被害が、主断層沿いではなく数10km離れた地点に発生した理由が明らかになった。 (2)副次断層の確認 副次断層付近の約200個の余震のメカニズムの解析から、これらの余震がほぼ本震と同じ応力下で生じ、副次断層は本震に直交する右横ズレ断層であると結論された。ただし副次断層が活断層地形として現れていないことから、都市直下型地震の被害の予測の際には、潜在断層の可能性も考慮する必要があることが示された。 (3)現地調査と今後の研究協力の検討 平成3年7月、2月、平成4年3月の計3回延べ6名による現地調査・地震観測を実施した。現在、今後の協力関係を検討中である。 (4)研究成果の災害科学としての意義 強震動の予測には、現在地表に現れている活断層ばかりでなく、潜在断層も考慮する必要がある。特に、大断層の末端部には、潜在断層が存在する可能性が高く、強震動の震源となりやすいことが指摘され、このような考えの基で、現在日本の活断層の再検討を行っている。
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