研究分担者 |
斉藤 隆志 京都大学, 防災研究所, 助手 (10225716)
吉岡 龍馬 京都大学, 防災研究所, 助手
諏訪 浩 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00093253)
藤田 崇 大阪工業大学, 工学部, 教授 (60079598)
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研究概要 |
京都府宇治田原町の国道307号線について,道路現況と道路工事の記録を調査し,デ-タベ-スに収録した.災害復旧工事の内容から,過去のいつ,どこで,どのような災害が多く発生したかを推測することができる.1953年の南山城災害により大きな被害があったが、主として西部の郷ノ口地区での河川の氾濫に起因するものである.1966年以後の国道化に伴う道路新設工事が主体の期間中,1968年と1972年に災害復旧工事費の支出が特に多いが,内水氾濫による盛土の破壊や未改良区間での崖崩れ災害が中心で,新設工事との関連は薄い.1973年以後は多様な工事が同時に進められている.復旧工事費は1982年以後急増しているが,特定の災害復旧工事に多額の経費がかかっているためで,災害が特に多かったわけではない.このような工事は道路際斜面の不安定を根本的に改善するもので,道路管理に新しい局面を開くものだと言える. 道路災害をもたらす崩壊・地すべり現象の素因としての地質学的ならびに地球化学的要因についても調査をおこなった.六甲山系北部の蓑谷近傍では道路建設の際の切土斜面で地層が谷側に向かって緩やかに傾斜する所で地すべりが発生している.地すべりはこのような所で,旧地すべり地塊の再活動として発生することが多いので,道路網の設計に際しては適切な調査が必要である. 宇治田原町内の道路沿い斜面とその集水域を巡回して湧水及び基底流出状態の渓流水を採取し,その化学分析をおこなった結果,HCO_3ーイオンの濃度の高い区域では地中でカオリンとモンモリロナイトの間の平衡関係が成立していることが示唆された.このような水質の変動は風化環境の場所的な変化に伴う潜在的な崩壊危険度の違いを反映したものであると言える.
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