研究課題/領域番号 |
03201215
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
八嶋 厚 岐阜大学, 工学部, 助教授 (90144394)
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研究分担者 |
宝 馨 岐阜大学, 工学部, 助教授 (80144327)
岡 二三生 岐阜大学, 工学部, 教授 (10111923)
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キーワード | 年輪 / カルマンフィルタ / 巨大災害 / 降雨強度 / 確率モデル / 異常気象 |
研究概要 |
異常気候に原因する将来の巨大災害の発生を予測し、その災害を軽減するためには、過去に発生した巨大災害と、その災害発生時期周辺の古気候変動特性の関連性を詳細に把握しておく必要がある。これらの関連性を定量的に論ずるためには、長期間にわたる巨大災害発生デ-タと気候変動デ-タが必要となる。 そこで本研究では、過去の気候変動を語る1つの媒体として樹木の年輪を選んだ。年輪の成長に影響を及ぼす降雨特性として、4月から9月までの総降雨日数を取り上げた。すでに長野県飯田市で江戸時代に書かれた墨翁日記(1811ー1839年)と駒ケ根市で書かれた大沼日記(1840ー1864年)に基づいて降雨日数の経年変化を求めたが、江戸時代末期より、長野気象台観測開始までの情報が欠落していた。そこで、本年度においては、現在の岐阜県柳津町で1867ー1897年の30年間に渡って書かれた青木日記を入手し、その解読を行った。これにより、従来空白となっていた30年間の降雨日数デ-タが充填され、およそ200年間の降雨日数デ-タが作成できた。 この降雨日数デ-タと年輪幅デ-タとの間に自己回帰・移動平均モデルを用いた確率モデルをあてはめた。そして、モデル中のパラメ-タをカルマンフィルタによって求めた。本年度の成果としては、年輪により再現された降雨日数と実測デ-タとの対比より、推定誤差が大きくなる(極値が発生する)年度が見られることがわかった。この周辺において、気象環境が著しく変動していると考えられるので、今後災害史デ-タとの関連を調査し、とりあえず、過去200年間の気候と年輪との相関に基づいた巨大災害発生時周辺の気候環境の再現が可能となることがわかった。
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