研究概要 |
1.地被状態等に応じて着色した原画像にデ-タ点を入力した画像ファイル、これを格子分割して格子の代表色を格納した格子情報ファイル、標高デ-タを空間補間した格子標高ファイルを保存する手順を確立した。 2.上記の各ファイルを連結・抽出した解析対象領域の計算・境界条件パラメタ-を計算条件ファイルに保存し、その一部は計算途中でも変更が可能とした。格子情報を10種に拡張して解析流域の変更等を簡易化した。 3.上流差分の非線解析による計算の安定・平滑化は非定常性流れに有効であった。準定常流解析では氾濫原と河道部の流速分布を表すために水平粘性項を付加した。水面が不連続な段落ち流れを限界流条件に統一して射流を分離したが、河床変動解析で不安定を引起す場合は一時的に固定床とする必要も生じた。掃流砂及び浮遊砂の輸送を考慮し、ブロックや植生の粗度要素は粗度域の鉛直分布モデルを用いて有効掃流力の減少を考慮した。 4.山地部における土砂災害の影響は氾濫水・土砂及び流木生産源として山際の格子に割振って境界条件として単純化し、主に氾濫域での流送過程を対象とした。流木のような非水理変数の輸送には体積濃度に関する一般的な移流・拡散ル-チンを準備し、その輸送過程を表現した。 5.計算結果はPCに転送し図化した。1次元解析と比較する水位・河床の縦断表示も用いたが、整数化された計算値はランクの色分けで直ちに平面分布図となり、洪水危険度のような誘導量としても表示できるようにした。 6.氾濫解析のサブモデル化で効率的に解析を行う統合環境を整えた。10m程度の格子で詳細に地形を表すが、数値粘性を得るのに計算時間を要する。実用的には、3,000〜4,000格子で流れと河床変動以外に少数の拡張変数の輸送計算に適し、集落や市街地を単位とする氾濫規模評価や防災対策のための氾濫解析モデルとして構成した。
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