研究課題/領域番号 |
03202130
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村岡 浩爾 大阪大学, 工学部, 教授 (90029017)
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研究分担者 |
佐藤 邦明 埼玉大学, 工学部, 助教授 (10008881)
岩井 茂雄 日本大学, 理工学部, 講師 (70147685)
三浦 裕二 日本大学, 理工学部, 教授 (70059294)
虫明 功臣 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (50011060)
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キーワード | 都市化 / 地下環境 / 水文サイクル / 水収支 / 地下水 / 雨水浸透 / 土壌浸透トレンチ / 透水性舗装 |
研究概要 |
大都市の水循環は自然の循環系から断絶し、極めて歪んだ循環形態を持っている。この実態を把握し、将来の環境保全型都市の形成に資することを念頭において、以下の研究を行った。 東京都では降水の直接流出分の増大に対処して、何らかの方法で雨水を地下に浸透させることが重要であり、その一つとして土壌浸透トレンチを取り上げた。実際の設計には浸透速度の推定が必要であり、リチャ-ドの方程式に基づく数値解析を行い、簡便な推定式を確立した。これを現地模型のトレンチと比較する共に、昭島市のモデル地区でも応用した。これらの資料により、各種の降雨モデルに対してこのトレンチが流出率等にどのような効果を与えるかを検討した。 同様に浸透性舗装の適用も直接流出を緩和させる工法の一つである。多くの大型都市では不浸透面積率が80%にも達する場合が多く、これらの一部にでも浸透性舗装を適用することは有効である。東京都板橋区を対象に、地目別流出係数より予め流出量を予想し、その上で試験施工により得た資料から浸透性舗装の効果をみれば、施工直後には20%の流出抑制効果があることがわかった。 大阪市24区を含むモデル地域560km^2も都市化が著しく進んだ地域である。ここでの水収支は既に検討済みであるが、特に給水系からの漏水および地下水からの排水系への浸出が特異であることが判った。地盤沈下対策の進捗により地下水位の上昇が顕著であることと合わせ、表層付近のだぶついた地下水は内水排除にも支障を来している。更に海面上昇が生じた場合、このような低平地の沿岸立地都市は少なからず影響を受ける。また、下水排熱エネルギ-の増加に伴い、地域の気候変化にかかわる要因として警戒する必要がある。また、水のみならず熱のリサイクルにより環境保全型都市の形成を支援することにもつながる。
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