大気中微粒子の呼吸器内沈着と生体影響

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03202140
• 研究機関: 東京理科大学
• 研究代表者: 古谷 圭一 東京理科大学, 理学部, 教授 (80087345)
• 研究分担者: 田中 勇武 産業医科大学, 産業生態研究所, 教授 (00038035) ; 竹本 和夫 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (50049764) ; 坂本 和彦 埼玉大学, 工学部, 教授 (20111411) ; 江見 準 金沢大学, 工学部, 教授 (90025966) ; 瀧島 任 東北大学, 医学部, 教授 (20004765)
• キーワード: 大気中微粒子 / 呼吸器内沈着 / モデル肺液溶解度 / 粒子沈着モデル計算 / 人肺元素濃度 / 発ガン関連物質 / 吸入実験 / 高感度微量分析

研究概要

本課題は10名の分野の異なる研究者チ-ムよりなる共同研究である。
A)吸入粒子の呼吸器内沈着挙動の実験的・理論的研究
人体呼吸器に関し,16部の区分化をし,吸入エアロゾル粒子の沈着。クリアランス簡易計算モデルを開発した。(高橋幹)織維状粒子の伸縮場沈着モデル装置を開発し,球形粒子の沈着挙動との比較し,特性化に成功した。(江見)
B)動物吸入実験と生体影響
化学形態の異なる3種のニッケル化合物のラット暴露実験を継続しその1部の結果が得られた。NiO(G)については肺内のみの畜積が認められている。(田中)レ-ザ-粒経測定装置を完成し,2種のネブライザ-の粒径分布を測定,比較した。また気管支拡張剤エアロゾルの粒径分布を比較した。(瀧島)剖検例人肺組織中の13元素の濃度測定を継続し、その要因解析を行っている。また、PIXE法の適用を試みた。(竹本)気管・気管支鋳型モデルを用いて超微粒子初期次着挙動を明らかにした。微細カニュレ-ション法により生体気管内での粒子クリアランス学動を明らかにした。肺マクロファ-ジによる粒子貪食量,可溶化量について測定した。(高橋千)
C)沈着粒子の沈着量.溶解量測定法の開発.
石炭フライアッシュを粒径密度分離した画分,5種の酸化ニッケル粒の組成を明らかにし、肺胞マクロファ-ジによる貪食量、可溶化量の測定を可能とした。(古谷)呼吸器内に沈着している微粒子の組成をそのまつ測定できることを目指して、フラッシュ加熱導入ー負イオン化学イオン化質量分析法(飯田)、ミセル動電クロマト-レ-ザ-勃起蛍光法(今坂)の開発を行い、デ-タが得られはじめている。スス成分中の発ガン性成分の溶解特性をモデル装置を用いて測定している。(坂本)

研究成果

• [文献書誌] M.Yamada,K.Kikuchi,K.Furuya,S.Takahashi: "Analytical Study of Chemical,in vitro and in vivo Dissolution of Inhaled Nickel Oxide Particles" Biological Trace Element Research.
• [文献書誌] Y.Otani,H.Emi,T.Tanaka,K.Kamide: "Application of Mixing and Deposition Data of Brownian Particles in a Model Alveolus to Human Alveoli" Journal of Chemical Engineering of Japan. 24. 154-159 (1991)
• [文献書誌] K.Takemoto,H.Kawai,T.Kuwahara,M.Nisina,S.Adachi: "Metal Concentration inHuman Lung Tissue,with Special Reference to Age,Sex,Cause of Death,Emphysema and Contamination of Lung Tissue" International Archiv of Oocupational Enviromental Health. 62. 579-586 (1991)
• [文献書誌] S.Daishima,Y.Iida,F.Kanda: "Evaluation of the Nitric Oxide Chemical Ionization Mass Spectra of Alcohols and Alkenes for Isomeric Distinction" Analytical Sciences. 7. 203-208 (1991)
• [文献書誌] T.Imasaka,T.Fuchigami,N.Ishibashi: "Detemination of Proteins by Gel Electrophoresis Combined with Visible Semicaonductor Laser Spectrometry" Analytical Sciences. 7. 491-493 (1991)
• [文献書誌] S.Takahashi,Y.Kubota,H.Sato: "Difference between C3H Mice and Wistar Rats in the Effect of External γーIrradiation on ^<59>Fe Release from Alveolar MacrophageーIngested ^<59>FeーIron Hydroxide Colloid" Journal of Radiation Research. 32. 262-266 (1991)