研究課題/領域番号 |
03202201
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
村尾 直人 北海道大学, 工学部, 助手 (00190869)
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研究分担者 |
山形 定 北海道大学, 工学部, 助手 (80220242)
太田 幸雄 北海道大学, 工学部, 助教授 (00100058)
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キーワード | 酸性雨 / 長距離輸送モデル / 東アジア / 流跡線解析 / 沈着 / 火山 |
研究概要 |
本研究では、まず日本の人為発生源と同程度のSO_2俳出量を持つ火山(桜島)の取り扱いの検討と評価を、次に日本各地における各種発生源からの寄与の見積もりおよび日本域での硫黄酸化物の収支に関する試算を行った。本研究で得られた主要な結果を以下にまとめる。 (1) 桜島の影響:1988年2月、4月に関する流跡線解析結果では、桜島の影響が冬期には小さく、春期のように頻繁に高低気圧が通過する時期に大きいことが示唆された。それぞれの月について、酸性雨モデル計算により、日本各地の硫黄酸化物の沈着量に対する桜島の寄与を求めた。その結果、桜島に由来する沈着量は、2月ではいずれの地点も12(mg/m^2/月)以下と小さい値となったが、4月では、15ー137(mg/m^2/月)となり全沈着量に対する寄与率では、名古屋、大阪、広島、高知で20%を上まわる結果となった。これらの結果に関しては、今後観測結果による十分な検証が必要と思われるが、日本地における酸性物質の沈着に関して桜島の影響が大きいことを示すものとして注目できる。 (2) 日本域での硫黄酸化物の収支推定;1988年2月に関する日本域での硫黄酸化物の月間物質収支を試算した。その結果によれば、硫黄酸化物はSO_2換算で20万トンがアジア大陸側から流入し、22万トンが太平洋側に流出する。日本域では、10万トンが人為発生源により、また、9万トンが火山から排出され、11万トンがこの領域で沈着する。見かけ上、アジア大陸の発生源による寄与はないが、この時期火山からの9万トンはほとんどがそのまま太平洋側への流出量となること等からみて、相当量が本邦地域で入れ代わっていると考えられる。 今後さらに、他の季節に関する解析を進めるとともに、日本各地の酸性物質沈着量に対する大陸起源の汚染物質の寄与を求めることが必要と考えられる。
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