研究課題/領域番号 |
03202233
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
青山 勲 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (10026239)
|
研究分担者 |
千葉 喬三 岡山大学, 農学部, 教授 (10036741)
武田 和義 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (90003516)
松本 英明 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (80026418)
河崎 利夫 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (90033109)
木村 和義 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (10033119)
|
研究期間 (年度) |
1990 – 1991
|
キーワード | 酸性雨 / 雨水の化学的特性 / 浮遊状物質 / 植物の生理学的障害 / 酸性耐性 / 根圏環境の変質 / 森林生態系の影響 / 石灰散布による環境改善 |
研究概要 |
本研究は全部で11課題で構成されているが、大きく分類すると、(1)酸性雨と浮遊物質の化学的・統計的解析、(2)酸性による根圏環境の変質、(3)酸性雨の植物に及ぼす生理・生態・遺伝学的影響、(4)石灰散布による土壌改善の4つに分けられる。(1)では試料の化学分析に基づき、その統計的諸特性について解析した。(2)では模擬酸性雨を用いて土壌成分特に栄養塩類と重金属類の溶出特性を調べた。(3)では酸性雨の植物に及ぼす直接的な影響として、種々の植物の花弁の脱色発現や可視的障害、オオムギの幼植物切断根を用いて、根の先端からのFe,Mn,Zn,Cd,Niの吸収に及ぼす酸性雨の影響と根内での移行特性を明らかにした。土壌の酸性化によって可溶化されるAlとCdの植物に対する毒性作用を見るために、オオムギ種子の発根率、発芽率及びそれらの生長速度の阻害作用について検討した。またオオムギ根のAlに対する応答反応として、細胞内で起る液胞膜のH^+輸送活性の変動について、特に耐性機構の面から検討を加えた。この結果細胞質にとり込まれたAlは液胞内に輸送され、隔離貯蔵されることによってAl毒性が制御されると考えられた。コムギとオオムギの酸性耐性の育種的改良に関する基礎的知見を得るために、多数の品種を供試して酸性耐性の種間および品種間差異を解析した。酸性雨の樹木生理に及ぼす影響を調べるために、クロマツ、クスノキ、コナラ、サンゴジュを用い、これらを川砂に植え付け、pH1〜6に調整した水を散布し、樹木の生理反応として、光合成速度、蒸散速度ならびに気孔拡散抵抗値を測った。これらの生理的指標に対して、pH3以上では有意な影響はほとんど認められなかった。しかしpH2以下では、特に光合成速度が顕著に低下することがわかった。土壌や水圏環境の酸性雨による影響を緩和、抑制するために石灰散布による効果を調べた。土壌環境では重金属類の溶出を抑え、水圏環境ではリン濃度の低下に効果が見られた。
|