1.Ar-O_2系によるYSZの緻密膜形成:従来、Hybridプラズマ溶射法では熱伝達能でまさるAr-H_2ガスを用いていたが、SOFCの一貫製造上還元雰囲気での成膜には問題が生じ、Ar-O_2系でYSZの成膜を行った。O_2ガス量、粒子速度をはじめとする成膜パラメ-タ-を変化させ条件の最適化をはかり、ガス透過係数10^<-7>cm^4/g・s以下のガスタイトな膜の形成に成功した。この皮膜は50μm厚程度でガスタイトとなるため、膜厚による電圧降下は問題とはならず、SOFCの電解質膜として実用に耐え得るものと考える。 2.Ni-YSZサ-メット燃料極の形成:NiO・YSZのパウダ-を同時にプラズマ中に導入して成膜し、さらに純水素雰囲気中1000℃で還元処理することにより、Ni-YSZ燃料電極を形成した。本法では粒子の粒径比・モル比を変化させることにより、サ-メット中の粒の分散状態・濃度を容易に制御できることが判明した。 3.SOFCの三層構造の形成:以上に加えて、空気極のLa_<0.5>Sr_<0.5>MnO_3も併せて平板・円筒基体上に三層構造を構築したところ、Ar-H_2系で問題であった燃料極の還元・溶融及び、空気極と電解質の間の熱膨張のミスマッチによる割れなどは認められず、SOFCの一貫製造が可能となった。今後は本研究で欠落している電気特性の評価をプロセスにフィ-ドバックすることにより、高性能のSOFCの一貫製造を目指す方針である。
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