親水性のメタクリレ-トモノマ-として、ピロリドン系モノマ-5種、スルホキシド系モノマ-5種を合成し、まだモノマ-の性質の検討として、親水性の尺度としてオクタノ-ル/水系での分配係数、細胞毒性を調べた。 ピロリドン系モノマ-(MAPD)は、γーブチロラクトンとアミノアルキルアルコ-ルからNー(ヒドロキシアルキル)‐2‐ピロリドンを先ず合成し、それをトリエチルアミン存在下にメタクリル酸クロリドと反応させて得た。また、スルホキシンド系モノマ-(MMASO)は、クロロアルキルアルコ-ルとメチルメルカプタンのナトリウム塩からメチルチオアルキルアルコ-ルを先ず合成し、エ-テル中ピリジン存在下にメタクリル酸クロリドと反応してメチルチオアルキルメタクリレ-トとし、これを水または水/メタノ-ル中でメタ過ヨウ素酸ナトリウムで酸化して得た。 分配係数は水中に対するオクタノ-ル中での濃度の比として求めた。 細胞毒性試験では、細胞増殖抑制率50%を示す濃度(GI_<11>)を毒性一つの指標として求めた。 MAPDでは分配係数が6以上になると水に溶解しにくくなったが、MMASOはいずれも水溶性である、メチレン基数2‐4のものはHEMAより分配係数が小さくより親水性であり、特に2のMMESOはそうであった。 細胞毒性の指標であるGI_<11>は、HEMAが最も大きく、次いでMMPSO>MMESO、MPPD>MMPeSO、MMHSOなどとなり、逆にMMPPDで最も小さくなった。メチレン基数を変えると、MAPDでは2.1‐5.2、MMASOでは4.4‐7.6と変化し、MAPDの方が全体的にやや小さかった。いずれの場合にもメチレン基数3のところでGI_<11>が大きくなる傾向が認められた。 いずれのMAPDおよびMMASOともに、従来の水溶性モノマ-と毒性的にそれほど大きな差はないと考えられる。
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