研究概要 |
本研究では″生命の基本″が膜構造・大きな次元での構造体にあるとの考えに立ち、生体膜のベクトル的性質の発現、ミクロ集合体における空間的構造化を、膜タンパク質再構成系・タンパク質集合体などのモデル系で再現し、構造化の役割を明らかにすることを目的とし、これまでの4ヶ年間研究を行ってきた。 膜酵素の果たす役割の中で非常に大きなものの一つに、エネルギ-・電子授受機能があるが、このような場合でも膜中で酵素は単に酸化還元電位勾配や濃度勾配によるものではない、物理的な方向性を持っていることが知られている。そのモデル化として、本年度は電極表面と直接電子授受しうるタンパク質性エレクトロメディエ-タ-および自己伝達型酸化還元酵素系を調整し、その電極上への方向性のある固定化を試みた。 具体的には牛血清アルブミンなどの単純タンパク質の表面に低分子メディエ-タ-を固定化すること,およびグルコ-スオキシダ-ゼなどの酸化還元酵素の内部に(エレクトロンル-ト形成のための)メディエ-タ-分子を導入することを試み,その際可逆的変性剤として高圧力(400〜500MPa)を用いる可否を検討した。 その結果グルコ-スオキシダ-ゼを高圧力変性下でフェロセンカルボン酸ーDCC系で化学修飾することにより、真の意味での自己伝達型酸化還元酵素が調整できることが明らかになった。
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