研究概要 |
本研究は高いリチウムイオン伝導性を有するLiーAlーTiリン酸塩固体電解質ガラスを開発しようとするものである。 Li_<1+x>Al_xTi_<2-x>(PO_4)_3等の複合リン酸塩は、高リチウムイオン伝導性を有し他のリチウムイオン伝導体と比較して空気中で安定であるが、これらは従来多結晶体で焼結性が悪く粒界の存在が導電率へ悪影響をおよぼす。本研究では粒界を消滅させるためにガラス化を行いその導電率について検討した。これらの固体電解質は導電種であるリチウム濃度を増加させると導電率が上昇する知見が得られているためのハロゲン化リチウムを添加してガラス化を行った。 結晶の中で最高の導電率を持つLATP〔Li1.3Al0.3Ti1.7(PO_4)_3〕結晶と各種ガラスについて室温導電率を比較すると、LATP結晶(1×10^<-1>Scm^<-1>)、LATGP〔Li1.4ーAl0.4Ti0.85Ge0.75(PO_4)_3,1×10^<-5>Scm^<-1>〕,LATPガラス(1×10^<-6>Scm^<-1>),LAGPガラス〔Li1.5Al0.5Ge1.5(PO_4)_3,1×10^<-9>Scm^<-1>〕の順に低くなることがわかった。LATPガラスはLATP結晶と比べて導電率が低下した。この理由は、リチウムイオン伝導のためのトンネルのサイズが結晶では適度な大きさであったのが、ガラス化により過度に拡大したためと考えられる。ガラス試料のトンネルサイズを適度な大きさに調節する目的でTiを含まずよりイオン半径の小さいGeを含んだ固体電解質LAGPを用いた場合,LAGPガラスの導電率はLATPガラスよりさらに低下した。これはトンネルサイズが小さく仰えられているためと考えらる。LATPとLAGPの中間のトンネルサイズを得るためにTiとGeの両者を含むLATGPをガラス化したものでは、LATP結晶にはおよばないものの全てのガラス試料中で導電率が最高となることがわかった。
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