研究概要 |
銅以外の酸化物超伝導体としてMnとNbの層状ペロブスカイト物質に注目し,その超伝導性を検討した。これまで,MnO_2層を1層含むBiPbSrMnOxとMnO_22層を含むBi_2PbSr_2MnOxの合成を検討したところ,いづれも酸素分圧が低いアルゴン雰囲気中で,単相の合成に成功した。この物質は格子定数が,a=b=5.30A^^○,C=25.6A^^○(MnO_21層),としてa=b=5.30A^^○,C=30.2A^^○ MnO_22層と見積ることができました。MnO_2一層についてはTarascon等が詳しく研究を行こなっているが,MnO_22層については我々が始めて合成に成功した。しかしながら,この物質は電気伝導度の温度依存性から半導体的挙動を示し,帯磁率の温度依存性から50kで常磁性体から反強磁性体に転移しており,超伝導性を見い出すことはできませんでした。更にキヤリヤ-をド-プする必要があると考えられます。一方,Nb系の層状ペロブスカイト構造としてはKCa_2Nb_3O_<10>に注目した。この物質は白色で電気的に絶縁体である。そこでCaの一部をYに置換し電子ド-ピングを検討した。Yの添加量が0.4程度までは不純物相の生成は余り観測されなかったものの,Y>0.6以上では多量のYNbO_4の生成が認められた。一方,格子定数,特にC軸長はY〜0.4近傍までは急激に増加するものの,Y>0.6では極だった変化は起こりませんでした。Y【approximately equal】0.4での試料を水準還元処理すると、青色に変化し,粉体の拡散反射スペクトルから低波長(2400nm)に大きな吸収が観測されました。これは伝導電子の吸収によるものであり,実際ペレットは数100kr程度の電気抵抗を示しました。しかし,超伝導性を示すには余りにもキヤリヤ-の濃度が低く,更にYをド-プする工夫が必要と考えられた。以上、Cu以外の層状ペロブスカイト物質として、Mu,Mb系を検討したが,良好な超伝導性は見い出せませんでした。
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