研究概要 |
1.ネオカルジノスタチン(NCS)複合体をプロトン2DNMR(COSY,HOHAHA,NOESY)を用いて解析した。クロモフォアとアポタンパクの間のNOEから、ジスタンスジェオメトリ-法により両者の結合部位とその粗い構造を求めた。その結果、(1)アポタンパクは揺りかご状の三次構造を持ち、4本のβストランドからなる疎水性ポケット(βシ-ト)の中にクロモフォアがエポキサイド側を下にして会合している。この点ではコンピュ-タ-モデリングの結果と同じであるが、クロモフォアのコア部分の向きは、前後が完全に逆であることが分かった。(2)しかも、疎水性のポケットの底に位置しているのはナフトエ-ト部位であり、Trp39やPhe52とπスタッキングできる位置にはないが、近接している。edge‐to‐face型の相互作用があるように見える。両者の結合に一番重要な部位がナフトエ-トであることを示している。(3)親水性のアミノ糖とカルボネ-トは、ポケットの入り口に位置している。アミノ酸のNーメチル基(アンモニウム塩)は、自らコア-の12位を遮蔽する立体配座にあり、求核攻撃から守る役割を担っている。(4)さらに、NーメチルとAla101やGly102との間にNOEが見えて来たので、その近辺のル-プ構造はN-メチル側に析れ曲がってクロモフォアを押え込んでいる可能性がある。その変化にはAsp99との間のイオン結合が寄与していると考えられる。 2.クロモフォアのナフトエ-トおよびN-メチルフコサミン部を合成し、シクロぺンタンジオ-ルに結合させた。それらモデル化合物とアポタンパクとの結合定数を求めた結果、アポタンパクとの特異的結合の鍵を握るのはナフトエ-ト部位であることが明らかとなった。
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