研究概要 |
ネオカルチノスタチン(NCS)クロモフォア(1)は既知の天然物にはない新奇な構造と強い抗腫瘍活性から注目を集めている。この特異なエンジイン構造がビラジカルの発生を誘起しDNAを切断する。我々はNCSクロモフォアの構造をA,Bに分け、それぞれの役割を分子レベルで解明することを目的として、NCSクロモフォアモデルの合成研究に着手した。 本年度は、A,B部位の役割を求めるため、トランスジオ-ル構造を有するNCSクロモフォアモデル6の合成を行った。トランスジオ-ル3はパラジウム触媒を用いたビニルエポキシド2の開環反応により立体選択的に導入した。アセチレン側鎖を5員環に1、2付加後、ブロモヒドリン4の分子内エ-テル化反応により、52%の収率で13員環エ-テル5を得た。3級水酸基をTMS基で保護し、tーBuLiで[2,3]ーwittig転位を行ったところ60%の収率で9員環エンジイン6を得た。現在ナフトエ-ト基、アミノ糖の導入について検討中である。
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