超新星残骸の衝撃波で加速されうる宇宙線陽子の最大エネルギ-について理論的に検討した。これまでに未解決の大きな問題は観測的には銀河宇宙線のスペクトルは10^<15‐16>eVまでまっすぐに延びているのに対し、理論的に求められた最大エネルギ-が10^<14>eVでしかないという点にあった。本研究では(1)磁場が衝撃波面と斜めに交わる斜め衝撃波における加速、(2)衝撃波が単独ではなく、二重に存在している二重衝撃波における加速の2つの場合について検討した。その結果、(1)では著しい加速時間の短縮が可能であることを見い出した。(2)の場合には加速時間は単独衝撃波の場合とほとんど同じであり、問題の解決にはならないと考えられる。 (1)については、モンテカルロシミレ-ションにより、衝撃波面で入射された粒子が波面の上流及び下流で繰返し散乱される過程を追跡することによって、加速時間とエネルギ-スペクトルを求めた。散乱については等方大角散乱を仮定したが、波面と粒子との相互作用については磁気モ-メントの保存を仮定しなかった。粒子の反射、透過後のピッチ角分布について、別のシミレ-ションで得られた分布を採用することによってより現実に近づけたことになる。しかも、得られた結果は磁気モ-メントの保存、非保存にはあまりよらないことがわかった。いづれにせよ磁場と衝撃波面とが平行に近い程加速時間は短縮され、これまでの平行衝撃波の場合に比べ、100倍程度高いエネルギ-まで加速されうることが見い出された。 (2)については拡散対流方程式の差分法による数値解を求めたが、所期の目的には役立たないことが判明した。この数値コ-ドは将来より現実的な球対称衝撃波の時間発展を粒子加速を考慮して取り扱う時に有用となる。
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