研究概要 |
HIVの外被糖蛋白gp120に対するモノクロナル抗体0.5βが認識するエピト-プが固定され、それが中和抗体活性部位に存在することが明らかになった。マウスでつくられたモノクロナル抗体をヒトIgGの形にすることが遺伝子工学的に可能であり、0.5βについても試作されている。さらに中和エピト-プのストレイン間の比較,合成ペプチドによる抗体の作製が行なれた(高月)。エイズ死亡症例の脳の神経病理学的検索が行われ、1例ではHIV leukoencephalopathyの所見が見られ、他の1例では日和見感染による多発性の大きなトキソプラズマ性肉茅腹と診断されたが、その病単とは離れた大脳白質においてもミクログリアの増生と血管周囲のマクロファ-ジの集簇が認められ、HIV感染に伴う共増の白質病変の存在が示峻された(納)。HIVプロウイルスDNAを定量的に検出できる系をPCRを用いて作成し、臨床に応用して有用性を確めた。さらにRIを使わずにAZTのリン酸体を測定する方法を開発し、それによってAZT投与法を工夫した(木村)。多数例の血友病患者のHIV感染状況を経過観察し、6年間の免疫能の推移から、病勢の進行と各マ-カ-の変動を検討した(藤巻)。プロウィルスDNA、血清RNAをtwoーstep PCRにより検出する系をつくり、臨床応用した。エイズ側では症状が発現し免疫能が低下する前にRNAの強陽性が持続し予後推定のよい指摘となることを指摘した(三間屋)。HLAタイプ,HTLV‐JやHCVとの重感染,β_2ミクログロブリン,NK活性,TNF活性,IFN‐αおよびδなどを検討したが免疫不全進行因子としてはっきりした成績は得られなかった(白幡)。
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