研究概要 |
Human immunodeficiency virus(HIV)は後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因ウイルスである。HIVの主な感染細胞は免疫担当細胞であるリンパ球と単球・マクロファ-ジ(Mo)である。HIV感染Moは長期ウイルスを保有産生しHIVのreservoirとなる。Mo由来サイトカイン(たとえばinterleukin1,IL1;tumor necrosis factor,TNF;interleukin6,IL6;transforming growth factorβ,TGFβ;colony stimulating factors,CSFs;interferons,IFNsなど)は感染細胞のHIV産生を制御するのみならず、宿主の生体防御反応において重要な役割を有する。私達の今年度研究により、in vitroにおけるHIVの長期感染によりヒトMoより持続的に低レベルのサイトカイン,IL1β,TNFα,IL6,IL8などが産生される一方,HIV長期感染MoはLPSに反応してサイトカインを産生できない産生不全状態にあることが判明した。HIVのMoによる低レベルの持続的サイトカインの産生誘導はMoがHIVのreservoirになるのには適するが、誘導性サイトカインの発現不全は結局細胞性免疫;特異抗原に対するBリンパ球のclonal expansionと抗体の産生;好中球の産生,機能発達,走化性;や脳神経細胞の生存,分化,機能発現の低下をもたらし,免疫不全,宿主防御機能の低下,脳神経障害として現れるものと思われる。 一方,HIV感染Moにおけるサイトカイン産生不_状態の原因解明のためにヒトIL8遺伝子5'‐上流域のLPS,IL1/TNF反応性エンハンサ-を解析しAP‐1+NFkBならびにNF‐IL6+NFkB様核蛋白結合部位より成り立つことを確定した。
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