研究課題/領域番号 |
03222103
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡辺 公綱 東京大学, 工学部, 教授 (00134502)
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研究分担者 |
上田 卓也 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (80184927)
田仲 可昌 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (80091908)
口野 嘉幸 国立がんセンター研究所, 生物物理部, 部長 (60124418)
大山 莞爾 京都大学, 農学部, 助教授 (40135546)
大澤 省三 名古屋大学, 理学部, 教授 (10034620)
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キーワード | 遺伝暗号 / 暗号変化 / ミトコンドリア / tRNA / コドン捕獲説 / サプレッション / RNA editing / AT / GC変異圧 |
研究概要 |
遺伝暗号の可変性は確立された概念となったが、本研究班では、各生物、オルガネラにおける遺伝暗号の変化とその範囲を明らかにし、過去から現在にいたる変遷の過程を知ることにより、暗号多様化の実体とそのメカニズムを探り、多様化の要因を解明することを目的としてきた。新たに見つかったカンジダ酵母の暗号変化(CUG,Leu→Ser)について、共同研究が行われ、CUGをSerに翻訳するtRNAの構造解析(上田、渡辺、口野)と、その翻訳活性の検出(大浜、大沢)に成功した。5SRNAを指標とした各種不完全菌類の系統関係と翻訳系との対応も調べられている(大浜、大沢)。遺伝暗号の多様な変化が見つかっているミトコンドリアでは、まだ解析が行われていない種々の動植物について、ミトコンドリア遺伝子中のコドンとtRNAアンチコドンの両面の解析が行われた。新たな暗号変化としてプラナリアでUAA(Stop→Tyr)(大浜、大沢)、ホヤでAGR(Arg→Ser)(渡辺、上田)が見つかったが、全塩基配列が決定されたゼ-ゴケ(大山)や全長54kbのうち25kbの配列が決定された細胞性粘菌(田仲)では普遍暗号、RNA editingの証拠も現在までは見出されていない。暗号変化のメカニズムを調べるために不可欠なミトコンドリアのin vitroタンパク質合成系もウシ・ミトコンドリアで初めてポリ(U)依存ポリ(Phe)合成系が構築された(渡辺、上田)。暗号変化の進化的要因をよく説明するコドン捕獲説(大沢)の妥当性がマイコプラズマで実験的に検証された(大沢、武藤、安達)。レトロウイルスの感染によって動物細胞でUAGサプレッサ-グルタミンtRNAの発現が昂進するメカニズムとして、この遺伝子の5'上流に特異的に結合する核タンパク質の存在が明らかにされた(口野)。マウスにおけるapoBmRNA editingが発生、加令などの生理的条件で制御されることが示された(樋口)。
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