研究課題/領域番号 |
03226101
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
木下 俊郎 北海道大学, 農学部, 教授 (10001421)
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研究分担者 |
平井 篤志 名古屋大学, 農学部, 助教授 (60023470)
新城 長有 琉球大学, 農学部, 教授 (40045092)
常脇 恒一郎 京都大学, 農学部, 教授 (20026438)
伊藤 道夫 静岡大学, 理学部, 教授 (70022671)
堀田 康雄 名古屋大学, 理学部, 教授 (30190218)
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キーワード | 配偶子 / 減数分裂 / 花粉 / 細胞質雄性不稔 / 稔性回復核遺伝子 / ミトコンドリア遺伝子 / 物理地図 / 形質転換 |
研究概要 |
雄性配偶子の分化・発育についての人為的制御を目的として以下の研究成果を得た。 (1)減数分裂の機構解析:減数分裂細胞における遺伝子発現には分裂特異的なプロモ-タ-の存在が必要であり、例えば分裂酵母の減数分裂誘導に関与するmei2プロモ-タ-が高等植物の系でも利用可能であることがわかった。また、ユリの減数分裂前期に転写が特異的に誘導される遺伝子クロ-ンを多数単離したが、その中には遺伝子組換えや組換え修復、あるいは花粉形成などに関与すると考えられる遺伝子も含まれていた。これらの遺伝子を活用した組換えの人為的制御が次の課題となろう。一方、細胞膜系の脂質組成やATPase活性についての生化学的解析を通じて、雄性配偶子の形成に伴い、リン脂質が不飽和化することも見出した。これは配偶子分化過程における遺伝子発現の調節機構を研究する上で重要な知見である。 (2)雄性不稔の機構解析:コムギとテンサイの細胞質雄性不稔系統において、ミトコンドリア遺伝子の突然変異を見出し、特にテンサイのatpA、coxII両遺伝子は転写調節領域に広範な構造変異を起こしており、転写パタ-ンも正常型とは著しく異なっていた。また、雄性不稔性を担うミトコンドリアゲノムの物理・遺伝子地図がイネとテンサイでそれぞれ完成し、正常型と雄性不稔型ゲノム間の多型域の同定やゲノム再編成の機構解明へと研究が進展した。配偶子を利用した形質転換系を確立するために、パ-ティクルガンを用いて花粉細胞や葉緑体への遺伝子導入を試みた。さらにイネのプロトプラストの非対称融合法により、ミトコンドリアゲノムに再編成が起こり、細胞質雄性不稔性を安定的に伝達させることにも成功した。その外、イネでは同一の稔性回復核遺伝子がある細胞質には配偶体的に、別種の細胞質には胞子体的に働く作用機構が見出され、育種的に重要な知見となった。
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