研究課題/領域番号 |
03228101
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉田 忠 東北大学, 文学部, 教授 (60004058)
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研究分担者 |
林 正幸 国立公衆衛生院, 保健統計学部, 主任研究官 (10189665)
長谷川 敏彦 国際協力事業団, 医療協力部, 医療協力課長
久繁 哲徳 鈴鹿医療科学技術大学, 医用工学部, 教授 (40145123)
森 亨 結核予防会, 結核研究所, 副所長
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キーワード | 医療技術 / 乳児死亡率 / 結核死亡率 / テクノロジ-・アセスメント / 健康改善 |
研究概要 |
1.健康改善に対して医療技術の果たした寄与を定性的・定量的に再評価を行うために、わが国の過去約100年間にわたる長期死亡統計、医療および社会経済的指標に関する資料・情報の収集とその分析を行った。 2.コンピュ-タ・デ-タベ-ス化をはかるために、人口学的指標としては性別年令階層別のデ-タ、疾病構造については感染症、母子保健、成人病に関する現在までの死亡率のデ-タ、社会経済的要因としてはセンサスデ-タを中心として明治7年以降から現在までのデ-タを収集、一部入力を行った。 3.主な疾患の検討事例として、今年度は乳児死亡率と結核死亡率をとりあげた。死亡率の時系列分析によると、乳児死亡率と結核死亡率が平均寿命の延長に最も寄与していると思われるからである。 4.乳児死亡率の変曲点は3ー4点認められ、時期別に母子保健の医療技術及び保険医療、社会経済的要因との関連を検討すると、実質国民所得、看護婦数、抗生物質の生産量、国民皆保険制度等の要因が、それぞれの時期別に関連性が推定された。一方医療技術では乳児死亡と直接関連する周産期医療技術は、導入が1950年代後半、普及が60年代以降であり、乳児死亡率の低下には極めて限られた影響しか及ぼしていないことが判明した。 5.他方結核死亡率は全年令では1916年から低下し始め、1932年から45年にかけて緩やかに上昇し(戦時過剰死亡)、その後は急速に低下する。これらの変化の特性には、戦前の産業構造の変化、戦争による種々のストレス、戦後の生活水準・栄養の改善のほか、1940年代に始まる集団BCG接種、戦後の化学療法等々、特異的・非特異的要因の作用が寄与したと考えられるが、今後は国際比較も含め、これらについて更に立ち入った検討を行う予定である。
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