今年度は主に以下の点について研究を行った。 (1)欧米における環境倫理の系譜(昨年度からの継続) (2)環境倫理の具体的発現の場としての環境保護団体の活動 (3)宗教と環境倫理とのかかわり (4)環境倫理を定着させる活動としての環境教育 特に、(2)の環境保護団体の活動については、世界的に著名な米国のシェラ・クラブと全米オ-デュボン協会の2つについて、その歴史と現況について詳細な研究を行った。また、日本、英国、米国でいずれも野鳥保護団体として発展してきた「日本野鳥の会」、「王立鳥類保護協会」、「全米オ-デュボン協会」を例に、日本と欧米の環境保護団体の成立過程にみられる環境倫理思想の発現について調べた。その結果を述べると、「日本野鳥の会」は、一種の道楽としての探鳥会から始まったものであるが、英米の団体は、人道的見地から鳥を守る活動として発足したことがわかった。すなわち、キリスト教でいうスチュワ-ドシップの発現として保護団体をつくったのである。欧米でのこのような形での環境倫理思想の具体化は、日本では最近までなかった。この意味で、宗教特にキリスト教と環境倫理とのかかわりについての考察をおこなった。 また、環境教育については、その今日的役割を明確にするとともに、環境教育システムが確立しており、最も進んでいる米国ででの取組について調査・研究を行った。
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