研究概要 |
今期は、研究開始の初年度であり、まず研究方針の確立に努めた。情報化社会においては、当然のことながら、情報に極めて高い価値が生ずる。そして、価値ある財に対しては侵害が生ずることも必然であり、それらにつき適正な保護が与えられなければ、情報化社会というものは、成立しえない。財産的価値のある情報の保護法として中心的地位を占めているのが知的財産権法である。知的財産権法自体は100年以上前から存在しているが、情報化社会の到来と共に、その存在意義に変化が生じているはずであるし、また情報化時代特有の問題も生じているはずである。本研究は、そのような現状の把握と問題点の洗い出し、及び今後のあるべき姿につき研究する事とを中心課題とした。そして、特に、知的財産権を巡る国際問題、コンピュ-タ関連問題、バイオテクノロジ-関連問題の3点が、今後の知的財産権法にとって極めて重要であるとの結論に達し、以後この点を中心に研究を進めることとした。その目標に従い,研究分担者以外の協力をも得て、合宿を行い、上記3点の研究テ-マについての割当を決めるとともに、当面の問題点につき議論をし、研究分担者を中心にさらに研究を続ける事とした。研究は緒に付いたばかりであり、資料や文献も、外国のものを中心に収集中ということもあり、未だ論文として発表されたものはないが、かなり研究の進んでいる分野もあり、来期からは、論文や単行本として公表できる予定のものが何本か存在する。
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