研究分担者 |
今本 恒雄 千葉大学, 理学部, 助教授 (10134347)
岩崎 不二子 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (10017329)
吉藤 正明 東北大学, 理学部, 教授 (90011676)
大城 芳樹 大阪大学, 工学部, 教授 (70028984)
山邊 時雄 京都大学, 工学部, 教授 (80025965)
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研究概要 |
前年に引き続き、(1)高歪化合物の合成設計と新規反応の開発、(2)低配位および異常原子価を有する典型元素化合物の設計、構築ならびに特異性の解明を2本の柱として研究を展開し、合成、反応、機能、構造および理論の面で興味ある事実を明らかにしつつある。高歪含ケイ素化合物に関する分野では、3,4ーベンゾー1,1,2,2ーテトラエチルジシラシクロブテンの熱反応でoーキノジシラン中間体が容易に発生し、熱転位2量体が生成すること、またアセチレン誘導体やカルボニル化合物存在下の反応ではノジシランとこれらの捕促剤との環化付加体が収率よく得られることを見いだしている。現在、遷移金属錯体触媒との反応について検討中である。高歪ヘテロ三員環化合物の反応に関しては、ジアジリジノン、チイレニウムイオン中間体、チイレンオキシド類などの環拡大付加について検討し、複素環化合物の新合成ル-トを開発しつつある。低配位リン化合物の分野では、リンー炭素間に不飽和結合を有するジホスフェン、ホスファエチレン、1ーホスファアレンなどにジクロロカルベンを反応させると収率よく3員環を生成すること、またこれらの3員環をアルキルリチウムで処理すると、まったく新しい形式の不飽和リン化合物、1,3ージホスファアレンあるいは1ーホスファー1,2,3ーブタトリエンなどが得られることを明らかにしている。光学活性ホスフィンボラン類に関する分野では、ジクロロフェニルホスフィンボランを出発原料とする一段合成法を開発し、種々の光学活性ホスフィン配位子が短い工程で合成可能となっている。量子化学的アプロ-チでは、ケイ素化合物の求核反応における遷移状態の理論計算を行い、ケイ素化合物の特異性を解明するためのモデルを示した。また、結晶化学的なアプロ-チも行い、種々の異常原子価を有する化合物の結晶構造解析により分子内、分子間相互作用を明らかにしつつある。
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