研究概要 |
近年、海洋生物由来の高次炭素鎖化合物に注目が集まっている。本研究ではこのグル-プに属する海洋生物毒を取り上げ、分子のもつ機能と精密分子構造との関係を解明し新しい分子認識機能の発見を目指す。 オカダ酸の活性についてキャビティの形成が活性発現に重要であろうとの推定をもとにして誘導体を合成した。即ち、C24位の水酸基をエピ化させその細胞毒性を比較してみた。その結果活性が1/66に低下することが判明した。C7、C27位のエピ化にも成功したのでこの活性試験を待つ必要はあるが、キャビティ形成と活性発現の関連性を実験的に証明できた。 前年度、NaKーATPaseを埋めこんだプロテオリポゾ-ムとパリトキシンとの相互作用について報告した。さらにこの実験系においてNa,K交換をNa,KーATPaseの阻害と同じ強さでパリトキシンは阻害する。一方、この阻害が認められないような低濃度でアルカリメタルチャンネルと形成する。また、このチャンネル形成とNaKーATPase阻害は別の機構で進むことが結論ずけられた。今後、分子レベルでパリトキシン、ATPaseの相互作用を解明する。 クロイソカイメンからはオカダ酸、ハリコンドリ^2Bが得られる。これらの生物オリジンがバクテリアであろうとの仮説のもとに共生バクテリアを培養した。抗真菌活性でスクリ-ニングしてデプシペプチド体を得た。その構造について現在検討中である。 ドクウツボの内臓およびクロイソカイメンから新規のレクチン類と単離した。特にドクウツボのレクチンにはNGF合成促進作用が認められ今後の発展が期待される。また、クロイソカイメンのレクチンは、特異系分子認識機能を有し現在さらに検討を深めている。
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