研究概要 |
1.ピリジンを配位子とするビタミンB_<12>補酵素アナログの合成と酵素系での挙動 B_<12>補酵素(アデノシルコバラミン;AdoCbl)の下方配位子部のDーリボ-スをトリメチレン基、5,6ージメチルベンズイミダゾ-ル(DBI)をピリジン(Py)で置換した新規アナログであるPy(3)ートリメチレン体を合成し、補酵素作用を調べた。このアナログはジオ-ルデヒドラ-ゼに対して補酵素として機能せず、強い拮抗阻害作用を示した。また、このアナログはアポ酵素に強固に結合するが、コバルトー炭素結合の活性化は受けていないと推察される。 2.ビタミンB_<12>のヌクレオチドル-プ部修飾アナログの微生物活性 B_<12>要求性細菌であるLactobacillus leichmanniiに対して、DBIートリメチレン体、テトラメチレン体、ヘキサメチレン体の3つのアナログは顕著な増殖促進効果(B_<12>活性)を示したが、DBIージメチレン体及びImートリメチレン体はB_<12>活性を示さず、準至適量のB_<12>と共に加えると弱い増殖阻害効果(抗B_<12>作用)が認められた。この微生物活性はリボヌクレオチドレダクタ-ゼ系でのアナログの補酵素活性に対応していた。Escherichia coli 215に対しては、5つのアナログはいずれもB_<12>活性を示さず、顕著な抗B_<12>活性を示した。アナログのB_<12>拮抗体としての作用部位はB_<12>の取り込み系であることを示唆する結果が得られた。 3.ジオ-ルデヒドラ-ゼ遺伝子のクロ-ニングと一次構造の効析 Klebsiella oxytoca ATCC8724のゲノムDNAライブラリ-からオ-ルデヒドラ-ゼ遺伝子を含むクロ-ンをスクリ-ニングした。このクロ-ンは親株と同程度の高い酵素活性を発現しており、本酵素の構造遺伝子全体か、または活性に必須な領域を含むと考えられる。その制限酵素地図を作成し、現在、塩基配列を解析中である。
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