超高真空仕様の反応チャンバ内で零下に冷却されたSiあるいは石英基板上にSi_2H_6分子を吸着させ、これを波長193nmのArFエキシマレ-ザ光をすることによって光分解し、Si薄膜を形成した。吸着Si_2H_6分子の化学反応性及び膜形成メカニズムを調べるために、気相中のSi_2H_6分圧及び基板温度をそれぞれ、0.007〜0.07Torr及び300〜150Kの範囲で変化させ、Si_2H_6吸着層の長さを制御した。表面吸着層形成に対する知見を得るために、ArFエキシマレ-ザ光の出力を21mJcm^<-2>/shot一定とし、繰り返し周波数を0.67〜100Hzに変化させた。更に、Si膜形成における水素脱離反応を促進するために、TEA CO_2レ-ザ光を波長選択して、レ-ザ出力22〜42mJcm^<-2>/shot、繰り返し周波数を0.67〜3.33Hzに変化させ、ArFエキシマレ-ザ光と同期あるいは非同期で吸着層へ照射した。 上記の研究結果より以下のことが明かとなった。 1.200K程度に冷却された清浄Si表面上では、Si_2H_6吸着第一層は、21mJcm^<-2>/shot程度のArFエキシマレ-ザ光1ショットでほぼ完全に光分解する。気相における孤立Si_2H_6分子の場合には、レ-ザ光1ショットで単原子層成長を実現するために約40層分の分子数が必要となるため、吸着第1層における高い反応性がセルフリミッティング機構として働いて、単原子層成長が実現される。 2.10P6(956.1cm^<-1>)のCO_2レ-ザ光をArFエキシマレ-ザ光と同時照射することで、表面のSiH_3結合が選択振動励起され、膜中の結合水素量は半減して2.5at%になる。その結果、膜の結晶性は改善され、結晶層における結晶粒径は約350A、体積率は約70%の多結晶Si薄膜が得られた。
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