核酸の機能と構造の関係を更に明かにする目的で、これまでに存在しなかった新しい核酸として(1):4'位にHの代わりにCーC結合の置換基で修飾されたもの、(2):フラノ-スの代わりにピラノ-ス骨格を有する核酸をデザインそ、それらの一般的合成法の開発研究を行なった。具体的には(1)は、Dーグルコ-スを原料として1、2:5、6ーダイアセトンーDーグルコ-スとしこれをアロ-スとし更に1、5ージアルデヒドーDーリボ-スとしこれにホルムアルデヒドをアルド-ル縮合、クロスカニッツアロ反応させ4ーヒドロキシメチルーDーリボフラノ-ス誘導体とした。更に選択的ベンジル化、ヨ-ド化、ラジカル還元等、官能基を化学修飾 して3、5ージーOーベンジルー1、2ーOーイソプロピリデンー4CーメチルーαーDーリボフラノ-スを合成した。1、2ーOーイソプロピリデン基をアセトリシスして1、2ージーOーアセチルーβーDーリボフラノ-ス誘導体として、アデニン、及びチミンと縮合させヌクレオシドとし、更に糖部の脱保護を行い、4C'-メチルアデニシン及び4C'ーメチルーβーDーリボフラノシルチミンを合成した。これにより4C'ー化学修飾核酸類の一般的合成法を確立した。 一方(2)はメチルーαーDーグルコピラノシドを原料として4、6ーOーベンジリデン化引き続き2、3ーエポキシ化を行い、メチルー4、6ーベンジリデンー2、3ーアンヒドローαーDーアロピラノシドとし、これをアデニンと炭酸カリウム・クラウンエ-テルを触媒としてジメチルホルムアミド中反応させることにより、ピラノ-スの2位にβ配位に核酸塩基を導入する事が出来、目的とするピラノ-ス骨格をもつ核酸合成の道を拓いた。
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