Al_2O_3、TiO_2、DyAlO_3、HoAlO_3等の単結晶をほぼ同一の熱環境条件下で引き上げ法(CZ法)にて育成した。本実験条件において、Al_2O_3、HoAlO_3に関しては、Twisting現象は発生しなかった。これに対し、DyAlO_3においては、育成途中より、Twisting現象が生じた。TiO_2に関しては、直胴部を得るのでさえ因難で、大きな直径変動や、固液界面形状が結晶に対し凸型になりやすく、融液から結晶が切れやすかった。 Twisting現象発生に関するこれらの違いは、結晶and/or融液の物性によるものであることが予想できる。Twistingが起こらないAl_2O_3、HoAlO_3は赤外吸収域に光吸収が少なく、一方、TiO_2、DyAlO_3は赤外吸収域に大きな光吸収あることが判った。熱移動の観点より考えると、赤外吸収域に光の吸収がある場合には、結晶内の〓射伝熱が妨げられ、結晶表面から雰囲気中に放出される熱量が少なくなることを意味する。そこで、今回は結晶内の熱伝達である熱伝導と〓射とを見かけの熱伝導に置き換え、結晶熱伝導度をパラメ-タ-とした数値解析を行った。その結果、融液及び結晶の熱伝導度が小さくなるにつれ、同じ熱条件にも関わらず、固液界面が結晶に対し凸になりやすく、Twisting現象発生の大きな要因の一つである、融液表面上の過冷却が発生しやすくなることが判った。 本来、〓射による熱移動は温度に強く依存するものであり、しかも実際には結晶内の熱伝導と〓射を同時に考慮しなくては現実の熱移動現象をシミュレ-トしたとはいえない。今後は、この解析を行うとともに、Twisting現象発生を防ぐ(あるいは発生を遅らせる)ための結晶作成条件の探索を行う。
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