1.実験的研究として (1)GaAs(001)清浄表面でのGaAsの成長機構、特にその表面原子構造の相転移現象に注目して、表面被覆率と表面構造の動的変化についてRHEED観察、解析を行った。表面のAsの被覆率に対して安定な表面構造が存在しそれらが供給As分子に対して相転移的に変化することは確認されているが、まだデ-タの定量性に問題があり、研究続行中である。 (2)GaAsのマイクロファセット構造を化学異方性エッチングにより作成しその結晶学的構造をSEMにより解析した。またそのファセット面上にGaAsを成長しその表面構造をRHEEDにより観察・解析した。 2.理論的研究として (1)GaAs(001)面上のInGaAs歪ヘテロMBE機構、特に原子付着過程の原子的機構に注目して理論的研究、計算機シミュレ-ションをおこなった。InGaAs/GaAs歪系では原子付着率がそのフラックス強度に依存すること、歪系に固有な原子層単位での組成揺らぎ、振動が存在することが明らかになった。 (2)Si(001)、GaAs(001)表面ダイマ-構造の安定性とその相転移現象を理解するため、keatingポテンシャルを用いた表面構造の計算を行った。Si(001)2x1ダイマ-構造が再現された。GaAs(001)ダイマ-構造に関してはAsーAsダイマ-結合あるいはGaーGa結合のポテンシャルパラメ-タの値そのものが得られておらず検討を要する。初期的な結果では、(2x4)ーAs、c(2x8)ーAs構造のエネルギ-はほぼ縮退しており、その構造は共存する結果が得られた。
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