自然言語概念学習システムのプロトタイプを作成した。このシステムは、教授者(人間)が学習内容を自然言語(英語)または抽象線図形(軌跡パタン)を取り込み、記号論理式として解釈内容に関して推論をするものである。システムが自然言語概念を正しく学習したか否かは、その推論内容の妥当性で判定する。今年度の具体的な作業項目は以下のようである。 1.自然言語解釈部の作成:自然言語解釈部は、形態素解析、構文解析、意味構造生成、および意味解析過程より成る。この部分は、既に作成している自然言語理解(質問応答)システムIMAGESーIIIの入力文解析部を改造することにより作成した。 2.線図形解釈部分の作成:線図形解釈部は、線図形パタン(時空間パタン)の特徴点を取り込み、概念パタン(記号論理式)として解釈する。パタンの特徴点は、ワ-クステ-ション(購入希望)のウインドウを通し、ある許容範囲を持った時空間座標点列として取り込むようにした。 3.推論処理部の作成:IMAGESーIIIの演繹推論部の改善と、取り込まれた具体例(正および負の事例)を一般化(概念化)する簡単な帰納推論機構(定数部分をある条件で変数に変える)を付加している。 4.言語応答部の作成:学習形成された自然言語概念が妥当なものかを判定するために、推論を行わせ、その結果を自然言語文として出力させる。例えば、「運ぶ」という概念の学習後、人間が「太郎が本を運ぶ」を線図形または言語で入力し、システムが「太郎が移動する。本が移動する。...。」というような応答文を出力すれば、システムは正しく「運ぶ」という概念を理解したと判定できる。
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