研究概要 |
人間の視覚系は高解像度の中心視と低解像度の周辺視とに分けられる。本研究課題ではこれら二つの視野領域における機能の分化・協調動作を効率的で能動的な情報処理の本質と捉え,このような視覚系をモデル化した。昨年度までは認識対象を線図形として実験を行ってきたが,本年度はモデルの一般化のためにシルエット画像を認識対象とし,システムの拡張を検討した。本視覚モデルはモジュ-ル構造を持つニュ-ラルネットワ-クによって実現されている点に特徴がある。昨年度作製した視覚システムを用いて多種の図形に対して認識実験を行ったところ良好な認識結果を得た。また画像に雑音を付加して認識系のロバスト性を定量的に解析した。本年度はさらに周辺視についていくつかの試みを行った。周辺視は低解像度の画像の中から興味対象を検出することを目的としている。そこで興味対象となる物体の像を小領域のウインドウを入力として3層ニュ-ラルネットワ-クに学習させ,これを対象画像中を走査するという方法で興味対象物の検出を行った。一般の風景像に対して同手法を適応し,窓の検出を行った結果,良好な検出が行えることが判明した。さらに人間の視覚系の一部では画像の空間周波数に対する応答性があることから,これをシミュレ-トするものとして画像そのものではなく,その2次元パワ-スペクトルをウインドウに入力して学習,対象物の検出を行った。その結果かなり良好な興味対象の検出が行えることが判明した。
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