研究概要 |
右心室筋(犬)より摘出した円柱状多細胞標本(trabecula)を用い、細胞外高抵抗下に、50Hz〜500kHz交流通電によりimpedanceを測定し、nexus conductanceのみを求める方法を確立し、それに及ぼすouabain,Wー7,CーAMP,heptanolの影響を観察すると共に、縦方向、横方向との差をも比較した。一方、同様の標本を用い、conduction velocityの上記薬物による変化、および縦方向と横方向との差異を観察した。これらから、nexus impedance(Rj)とconduction velocity(θ)との関係を検討した。 1)細胞外高抵抗化の経過中のnexus conductanceの変化は、2つのtime constantをもつa exp(ーx/t_1)+b exp(ーx/t_2)の式で表わせ得ることを明かにした。これにより実験値にfitするa,bを決めることにより、目的とするx=0(細胞外高抵抗化前)のときのnexus conductanceを求め得た。 2)縦方向のRj,θは横方向のそれらの0.25倍、2.3倍であった。ouabain(5×10^<ー6>M,30min)により、Rj、θは夫々controlの3.1倍、0.5倍となり、ouabainとWー7(10^<ー4>M)の共存では、Rj、θは夫々controlの2.2倍、0.75倍となった。dbーCAMP(10^<ー4>M,30min)はRjをcontrolの0.5倍に減少させ、heptanol(5×10^<ー4>M,20min)は2.3倍に増加させた(n=5〜20,値は平均値を示す)。 3)これらから、Rjとθとの関係は θ=k_1+/√Rj (k_1=ー0.1034,k_2=9.1145,r=0.9923) で表されることを明らかにした。
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