研究概要 |
染色体凝縮から細胞分裂に至る過程は、サイクリンーCDC2/28キナ-ゼにより制御され、さらに動物細胞ではRCC1が染色体凝縮を制御している。一方、酵母においてサイクリンーCDC28キナ-ゼの活性は、接合因子による情報伝達系により制御され、この伝達系に関与する遺伝子SRM1がRCC1と相同性があることが明らかになった。本研究では、染色体凝縮からサイクリンーCDC28/2キナ-ゼ活性化に至る制御機構を解明する目的で、酵母の接合因子シグナル伝達経路におけるSRM1とサイクリンーCDC28キナ-ゼとの関係について解析を行なった。 酵母と動物細胞のCDC2キナ-ゼによる制御機構が類似していることを確認する目的で、G1期で増殖を停止する酵母のcdc28温度感受性変異株に、Hela細胞由来のcDNAライブラリ-を導入し、高温での増殖を回復させる遺伝子(CDK2)を分離した。CDK2のアミノ酸配列は、G2期で働くヒトCDC2と60%、G1期で働くXenopus Eg1キナ-ゼと90%同一であった。従って、G1期で作用するヒトCDK2キナ-ゼが酵母のG1期の制御を行なうことが明らかになった。さらに、CDC2ーキナ-ゼ・ファミリ-に属するSGV1ーキナ-ゼが、酵母のG1サイクリンを制御することを示した。次に、SRM1と相互作用する同定する目的で,温度感受性srm1変異の抑圧変異ssr1を分離した.SSR1遺伝子はmRNAスプライシングに関与するSPP81遺伝子と同一で,マウスのPL10タンパクと49%の相同性をもつATP依存性RNA helicaseをコ-ドすることが明かとなった。
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