1.一次求心性Aδ線維刺激により誘起される抑制性シナプス電位(IPSP) Aδ線維刺激によって脊髄膠様質細胞にfast IPSPとslow IPSPが誘起され、fast IPSPはグリシンによって、slow IPSPはGABAによって仲介される。さらにグリシンおよびGABA含有細胞はAδ線維から直接グルタミン酸作動入力を受けていることを明らかにした。 2.C線維刺激によって誘起されるlate slow IPSP Late slow IPSPは持続が数十秒にもおよぶ著明な抑制作用を持ち、その発生にはk^+イオンが関与していることを明らかにした。またグリシン、GABAーA受容体拮抗剤、およびナロキソンでは拮抗されないことからlate slow IPSPはC線維に含まれるペプタイドによって仲介されている可能性が示唆された。 3.緩徐な興奮性シナプス電位(slow EPSP) Aδ線維刺激によって誘起されるslow EPSPはその持続が数十秒にもおよぶこと、k^+イオンがその発生に関与していることを明らかにした。Slow EPSPを発生するニュ-ロンにサブスタンスPを投与しても何ら興奮性作用が見られないこと、また、C線維刺激によってこのslow EPSPが発生しないことからサブスタンスP以外の伝達物質が関与している可能性が示唆された。最近、私達はサブスタンスPが第IV層ニュ-ロンに対して著明な興奮作用を示すことを明らかにした。これらのことからサブスタンスP含有C線維は第IV層ニュ-ロンによって第IV層ニュ-ロンに誘起されるシナプス電位とサブスタンスPおよびその拮抗剤の作用の検討を進めていく予定である。
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