1.タバコ膜結合型オ-キシン受容体(ABP)の細胞内所在とサイトカイニンによる活性誘導:Agrobacterium tumefaciens LBA4210(gene4^-)によるタバコの形質転換体を材料に、ABPの細胞内所在とサイトカイニンによるオ-キシン結合活性の誘導について調査した。ABPのオ-キシン結合活性の50%以上が存在した800g画分には、形質膜の標識酵素と液胞膜の標識酵素の活性が認められた。この画分のABPはミクロゾ-ムのABPと同様にオ-キシン結合活性がkinetinにより大幅に増加した。一方、ミクロゾ-ムのABPはTriton Xー100で可容化されたが、この画分のABPは用いた3種の界面活性剤では可容化されなかった。加えて、形質膜のABPとオ-キシンとの結合には他の因子が関与している可能性が示唆された。 2.トウモロコシABPのcDNA塩基配列を利用したPCR法によるABP遺伝子の増幅:トウモロコシで単離されたABPーcDNAの塩基配列を用いてトウモロコシ・パンコムギとタバコのゲノミックDNAからABP遺伝子の増幅を試み、約400塩基からなる主要断片を含む複数の増幅産物を得た。 3.毛状根を利用したタバコ発根遺伝子群のクロ-ニング:Ag.rhizogenes15834によるタバコの毛状根からcDNAバンクを作成し、毛状根組織と根以外の組織から得たcDNAおよびAg.rhizogenes Ri plasmid DNA(TーDNA)を用いた分別スクリ-ニングにより毛状根特異的cDNAのクロ-ンを6種類得た。 4.Agrobacteriumによるタバコの発根変異株の形質転換:Ag.tumefaciensとAg.rhizogenesを用いてタバコの発根変異株2系統(いづれもオ-キシン耐性変異株)の形質転換体の作成を試みた。両変異株ともrhizogenesでは形質転換体が得られず、1系統ではtumefaciensによる形質転換体の全てでテラト-マ状の茎葉分化が認められ、変異株のオ-キシン応答が野生株のそれと異なっていることが示唆された。
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