研究概要 |
ホウレン草葉に対し光処理したところ、SODのうち銅・亜鉛型SOD(Cu/ZnーSOD)のみが光に依存して発現することがわかった。そこで、ホウレン草葉に対するcDNAライブラリ-を構築しSOD1,SOD2のcDNAを同定し、その全長塩基配列を決定した。 一方、酸素ストレスとしては、ス-パ-オキシド(O^-_2)発生剤であるパラコ-ト処理を行ない、その結果得られた耐性タバコカルスが特殊なSOD発現パタ-ンを示すことを明らかにした。 なお、イネについては、登熟期種子に対するcDNAライブラリ-を構築した。これよりホウレン草Cu/ZnーSODcDNAをプロ-ブとして2種類のイネ細胞質型Cu/ZnーSODcDNAを同定し、その全長塩基配列を決定した。さらに、イネ核DNAライブラリ-より2種類の遺伝子を単離しその構造解析を行なった。その結果、イネ細胞質型Cu/ZnーSOD遺伝子は、いずれも、7ヶのイントロンで分断された8ヶのエキソンから構造されていることが判明した。 このうち第一イントロンは5'の非翻訳配列中に存在する特殊な例であった。この5'非翻訳配列中のイントロンの存在およびイントロンによる翻訳領域の分断パタ-ンは他の生物のSOD遺伝子構造とは全く異なっており、植物におけるSOD遺伝子構造と発現制御の特殊性が示された。なお、本研究により初めて植物のSOD遺伝子構造が明らかにされた。
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