研究概要 |
Gタンパク質は、哺乳類から酵母に至るまで存在し、細胞外からの刺激を細胞内に伝える仲立ちをするものや、細胞内にある小胞に存在してそれらの運搬に関与したり、核内で染色体の凝集を制御しているRCC1タンパク質等を複合体を形成していることが知られている。我々は、この様に細胞内で様々なシグナル系において中心的な働きをしていると考えられるGタンパク質を調べるために植物ゲノムからこの様な遺伝子を単離し研究してきた。今回我々は、シロイヌナズナのsmall G protein の細胞内及び各組識での分布を調べるためにARAー2,ARAー4の2つのタンパク質の抗体を作成した。その結果これらのGタンパク質はどちらも細胞膜ではなく、オルガネラの膜画分に存在することが分かった。またこれらのタンパク質はGTP結合性を持っていることがin vitroにおいて発現したタンパク質で確認した。またこれらの遺伝子を導入した形質転換植物を作成した。またGタンパク質とならんでシグナル伝達系、中でも細胞周期に関与した遺伝子の探索を行なった。細胞周期を制御する鍵となる遺伝子は、酵母で主に研究されているが、この酵母の遺伝子CDC2を遺伝子プロ-ブとして用いてシロイヌナズナから2つのCDC遺伝子の相同遺伝子を単離することができた。これらのうち1つの遺伝子CDC2aは酵母でCDC2遺伝子が温度感受性になっている株を部分的ではあるが相補することが分った。このことから単離した遺伝子のうち少なくとも一つの遺伝子は、細胞分裂に関与しているのではないかということが示唆された。動物細胞では少なくとも2つのCDC2遺伝子が存在し各々細胞周期の別の所で関与していると考えられている。CDC2aが分裂酵母のCDC2温度感受性変異を完全には相補できないことは、この遺伝子が細胞周期のノケ所でのみ関与していることが示唆された。
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